株式会社ヒビキエフピーオフィス(愛知県名古屋市の独立系FP事務所)の重永です。
筆者は銀行員時代、個人の顧客から「住宅ローンの繰上返済をしたい」と申し入れを受けたことがあります。
その時は、メリットとデメリットを説明し、結局繰上げ返済はしないという結論になりました。
全ての人が繰上返済しないほうがいいというわけではありません。
メリットとデメリットを正しく理解し、自分はどうしたらいいのか見極めましょう。
【繰上返済とは?】
住宅ローンに限らず、自動車ローンなども繰上返済が可能です。
当初の返済回数通りに返済中に、毎月返済額とは別で債務を返済し、返済期間を繰り上げることです。
ローン残高を全て繰上返済することを「一括繰上返済」、全額ではないが一部だけ繰上返済することを「一部繰上返済」といいます。
「一部繰上返済には2種類ある」
一部繰上返済をするとローン残高が減ります。
残ったローン残高を、どのように返していくか2種類から選択できます。
・期間短縮
毎月返済額をそのまま変えずに、トータルの返済期間を短縮するタイプです。
早く返し終わる分、負担する金利が少なくなるのが特徴です。
・毎月返済額軽減
当初の返済期間は変えずに、毎月の返済金額を軽減するタイプです。
返済期間が短くならない分、「期間短縮型」より時間がかかるため、負担する金利は多くなります。
【日本人は「借金=悪いこと」と考える人が多い】
どうでしょうか?
「借金は利息を払うのが無駄だ。早く返したほうが利息分が浮いて得。」
親からこのように教えられませんでしたか?
金融のプロからすると、全ての借金が悪ではありません。
事実、筆者も借金をしています。
それは「借金は上手に付き合うと資産を増やしてくれるから」です。
たしかに利息は金融機関の肥やしになりますが、自己資金では手に入らないものが手に入り、そこから産まれるものが利息分以上の価値を生み出したら「いい借金」と言えます。
具体的には「借入金利以上の利回りで運用できるもの」を借金して手に入れるのです。
なので、何でもかんでも繰上げ返済すればいいというものではありません。
メリットとデメリットを知り、自分の借金は早く返したほうがいいのか否か見極めましょう。
【繰上返済のメリットとデメリット】
「繰上返済のメリット」
・支払う借入利息が減る
唯一にして最大のメリットです。
繰上返済すると、借入元金に充当されて借入残高が減ります。
繰上返済した分の借入元金にかかるはずだった借入利息を支払わなくて済みます。
“総返済額”が減るということです。
「繰上返済のデメリット」
・手元資金が枯渇する
しっかりライフプランニングできていれば問題ないかもしれませんが、借金を早く返したいがために多めに繰上返済すると手元に残る現金が減ります。(当然ですよね)
思いがけない出費が発生する可能性もあるので、無理な繰上返済は危険です。
・金融機関によっては繰上返済するのに手数料がかかる
繰上返済の目的が「総返済額を減らすこと」でしたら、繰上返済で金融機関に手数料を支払うことはデメリットですし、繰上返済のメリットを薄めてしまいます。(意味がなくなります)
さらに、繰上返済の度に手数料がかかる金融機関だと、多額の資金を一気に繰上返済したくなりますが、そうなると先述のように「手元資金が枯渇」する可能性が高まります。
・一度返済したら二度と戻らない
繰上返済した分を「やっぱし返して」は不可能です。
新たに借金をするしかありません。
せっかく低金利で借りていた資金なのに。。と後悔することになります。
「住宅ローンならではのデメリットもある」
住宅ローンのメリットは、借入残高の1%(上限あり)分「住宅ローン控除」を受けられることです。
たとえば年末時点での住宅ローン残高が3,000万円の人が、年の途中で1,000万円繰上げ返済すると、30万円分の住宅ローン控除を受けられたはずが20万円分に減ってしまいます。
先述の繰上返済のデメリットに加え、住宅ローン控除適用期間中の繰上返済は「住宅ローン控除」で受けられる税優遇を縮小してしまいます。
【こんな時は繰上返済してもいいかも】
「借金が邪魔」
たとえば、借入残高が多いために新しい借入ができない場合は繰上返済して借入残高を減らすのは有効です。
もちろん、先述のデメリットに気をつけましょう。
「金利が高い」
繰上返済にはデメリットが多いですが、金利が高い借入は積極的に繰上返済しましょう。
なぜなら、デメリットよりも「支払い利息を縮小する効果(メリット)」の方が大きくなる可能性が高いからです。
複数の借入がある場合は、金利が高いものから順番に繰上返済しましょう。
無利息の奨学金を繰上返済するアホなことはしないようにしましょう。
【まとめ】
今の超低金利時代に繰上返済することは推奨しません。
特に住宅ローン控除を受けている人ですね。
個人が1%を切る金利でお金を借りられるのは住宅ローンくらいです。
1%未満の金利で住宅ローンを組んでおり、余裕資金があるならば1%を超える利回りで運用すればいいのです。
一度繰上返済するとその資金は返ってきません。
繰上返済してもいいと思っている資金を10〜20年の長期で株式投資に回した方がメリットが大きくなる可能性が高いです。
「借金=悪」ではなく、今の時代に合った正しい資産活用をしましょう。
借金を活用することで資産形成を加速させることができるかもしれません。
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