HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のファイナンシャルプランナー)の重永です。
サラリーマンにとって社会保険料が上がるのは、給料が下がるのと同意ですよね。
給与から引かれる厚生年金保険料が2020年9月から上がります。
つまり手取りが減ります。
厚生年金保険料の仕組みを復習しつつ、どう変わるのかを見ていきましょう。
【厚生年金保険料の仕組み】
厚生年金保険は会社など“事業所単位”で適用されます。
サラリーマンの人たちは自分で年金を納めたことはないですよね?
それは勤め先の会社が給料から天引きして日本年金機構へ納めてくれているからです。
しかも「労使折半」といい、会社が保険料を半分負担してくれているのです。
企業に勤めていない個人事業主は「国民年金」の保険料を納めていますが、これは自分で保険料を100%負担しています。
将来、受給できる金額も「厚生年金」の方が多いのでサラリーマンは企業に手厚く守られていると言えます。
【厚生年金保険料の決まり方】
厚生年金保険料は「毎月の給与」と「賞与」から成る“標準報酬月額”に一定の保険料率を掛けて算出します。
「標準報酬月額とは?」
標準報酬月額とは、受け取る給料の基本給に各種手当などを含めた金額から決定されます。
「保険料は?」
厚生年金の保険料は「18.3%」で、先述のとおり“労使折半”されるのため被保険者が負担する(天引きされる)のは半分の「9.15%」です。
「表で確認」
たとえば報酬月額が「35万円」の人は、標準報酬月額が「36万円」になります。
「36万円」に9.15%を掛けると保険料は「32,940円」です。(被保険者負担分)
このように、必ずしも報酬月額と標準報酬月額が一致するわけではありません。
【2020年9月から厚生年金保険料が変わる】
2020年9月から先述の表が新しくなります。
「標準報酬月額の等級が31等級から32等級へ」
2020年8月までは標準報酬月額の等級が31までだったので、月額報酬(お給料)605,000円以上もらっている人は上限の保険料「56,730円」を納めていました。
100万円の人も200万円の人も保険料は「56,730円」です。
これが「31等級から→32等級」になることで、32等級・65万円の標準報酬月額が設定されます。
月額報酬「635,000円」未満の人は31等級62万円(保険料56,730円)のままで、月額報酬「635,000円」以上の人は新しく設定された最高等級32等級65万円(保険料59,475円)となります。
高所得者しか関係ありませんが、保険料が「2,745円」増えます。
「将来の受給額も増える」
保険料が増えるということは、もちろん受給額も増えます。
厚生年金は「遺族厚生年金」「障害厚生年金」の受給額にも影響してきますので、きちんと納めましょう。
【まとめ】
高所得の人は厚生年金保険料が増えることによって手取りが減ります。
企業側も、労使折半なので負担が増えます。
低所得者の保険料を上げると騒がれる割に保険料が増えないので、しれっと金持ちから財源を確保する作戦にしか見えませんね。
実際、この話題がメディアに取り上げられているシーンを見た人は少ないと思います。
保険料が一律で値上げされると「ふざけんな!」と騒ぐことでしょう。
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