HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のFP事務所)代表ファイナンシャルプランナーの重永です。
年末調整の書類、もう提出しているかもしれませんがこのシリーズはもう少し続きます。
今回はシンプルなのに、意外と知らない扶養のお話です。
(税理士のブログかな?)
扶養には、「所得税」と「健康保険」の2つの考え方(というか判断基準?)があります。
よくわからなかったらこの辺はスルーしてください。
【扶養の範囲とは】
サラリーマンのパパと専業主婦のママ、そして小学生の子2人の家庭では、
パパの扶養にママと子2人が扶養に入っているという言い方をします。
ママがパート勤めでも、一定金額以下の収入でしたら“配偶者控除”もしくは“配偶者特別控除”の対象となり、パパの扶養に入ります。
子がパパの扶養に入るのはシンプルにわかると思います。
では、同居の親は?
パパの親は?ママの親は?
となってくると、少し複雑ですね。
制度の概要を知っていると、同じ条件なのに受けられる税優遇に差が出るかもしれません。
せっかく国が用意してくれている控除の制度をフル活用できるように勉強しましょう。
「103万円の壁、130万円の壁」
高校生の頃からバイトしていた人は当時から耳にはしていたけどよくわからなくないですか?
詳しくはこちらの記事で「最新版!103万円106万円130万円150万円201万円の壁」
【親の扶養について解説】
はじめに書いておきます。
初心者にはめちゃくちゃ難しいです。
というか、頭の中が混乱します。
「こんな要件があるんだなー」とふわっと理解して、税理士や税務署に相談しましょう。
「同居の親」
一緒に住んでいる親も、一定の条件を満たしていれば扶養に入れることができます。
扶養に入れたい親の収入が年金のみならば、
65歳未満:108万円以下(年間)
65歳以上:158万円以下(年間)
であり、生計を一にしていることが条件です。
その際の控除額は年齢によって変わります。
65~70歳:38万円(住民税計算では33万円)
70歳以上:58万円(住民税計算では45万円)
仮に所得税率が20%とすれば、70歳以上の親を不要に入れると所得税116,000円、住民税45,000円、計161,000円も税金が少なくなります。
「別居の親」
別居の親も生計を一にしていれば扶養に入れることができます。
親の年間収入の要件は同居の親と同じですが、
「別居の親と生計を一にするってどうすればいいの?」という疑問が浮かぶと思います。
答えは「仕送りをしているかどうか」です。
それもお小遣い程度ではなく、その仕送りをアテに生活しているかがポイントになります。
“健康保険”の扶養に入るための条件は
①親の収入が年間130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
②同居している親の収入が、扶養する子の収入の半分未満である
③別居の親の年間収入が扶養する子からの仕送り額未満である
所得税法上の扶養に入るためにも、上記の通り「親の年間収入を超えた仕送り額」を送るのが無難です。
無難という曖昧な言い方をしているのは、「生計を一にする」ということの明確な基準がないからです。
必ずしも親の年間収入を超えた仕送りをしなければいけないわけではなく、そうしておけばツッコまれることはよっぽどないということです。
別居の親を扶養に入れる場合の控除額は以下の通りです。
65~70歳:38万円(住民税計算では33万円)
70歳以上:48万円(住民税計算では38万円)
同居と別居の控除額の違いは、70歳以上からですね。
【親を扶養に入れる際の小ワザ】
共働き世帯が増えています。
夫か妻、どちらの扶養に入れるかで受けられる税控除の恩恵は変わります。
なんと実の親でなくても扶養に入れることができます。
なので夫と妻の収入に差がある場合は、収入が高い方(所得税率が高いほう)の扶養に入れた方が受けられる恩恵は大きくなります。
「実の親だから私の扶養に入れよう」としなくていいのです。
小ワザでした。
【親を不要に入れる際に気を付けるポイント】
親を扶養する予定の人が住宅ローン控除、iDeCo、ふるさと納税等を活用して所得控除を受けている場合、収入によっては親を扶養に入れても控除する税金がなくて所得控除の対象にならないことも考えられます。
「とにかく扶養に入れたら税金が安くなるんやろ!」と安易に考えるのは危険ですね。
【まとめ】
私も税法を勉強している時、これを理解するのに苦労しました。
文章ではなかなか理解しにくいです。
せめて表を見れば、、(めんどくさいから作らないけど)
覚えておくといいポイントは
・別居の親も一定金額以上の仕送りをしていれば扶養に入れられる
・実の親でなくても(配偶者の親でも)扶養に入れられる
・収入の高い方の扶養に入れた方が受けられる恩恵は大きい
・控除しまくると、控除する税金自体がなくなる
税務署か税理士に相談しましょう。
私には相談しないでください。(業として相談を受けると税理士法に抵触しますので)