HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のファイナンシャルプランナー)の重永です。
生命保険への加入を検討する前に知っておいて欲しい知識の一つが「遺族年金」です。
日本の社会保険制度は世界トップレベルなのに、国民のリテラシーが低いのでこの素晴らしさに気づいていません。
詳しくはこちらの記事「生命保険加入前にするべき遺族年金」で解説していますが、今回は「遺族年金をもらえない人」について解説します。
これを書いたら弊社の仕事がなくなってしまうのではないか?というプロの知識もお伝えします。(保険の見直しはただのサービスだから仕事なくなってもいい笑)
【遺族年金とは】
国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなられた方の年金の納付状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。
遺族年金とは
出典:日本年金機構
【遺族年金の受給要件】
「遺族基礎年金」
死亡した者によって生計を維持されていた“子のある配偶者“もしくは“子” が遺族基礎年金を受け取れます。
※子とは18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
「遺族厚生年金」
死亡した者によって生計を維持されていた妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)
※子のない30歳未満の妻は5年間の有期給付
※子とは18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
【遺族年金をもらえない人】
ここからが本題です。
もし当てはまった場合に困る可能性があれば、民間の生命保険でカバーすることを検討しましょう。
とくに、受給要件にある「生計を維持される」というわかりにくい条件の問題点を挙げます。(プロならではの観点から)
「遺族基礎年金をもらえない人」
当然ですが、 先述の遺族年金受給要件を満たしていない人がもらえません。
具体例を挙げながら説明します。
・18歳(障害等級1級2級の子は20歳)未満の子がいない場合
子が18歳(障害等級1級2級の子は20歳)を超えていたら、その子も配偶者も遺族基礎年金はもらえません。
子のいない配偶者もしくは子が18歳を超えた配偶者には代わりに「中高齢寡婦加算」という遺族基礎年金とは名称が違うものが支給されます。(65歳まで)
・亡くなった人が国民年金保険料を納めていなかった場合
年金保険料を納めていない人の遺族には遺族基礎年金は支給されません。
・亡くなった人に生計を維持されていない場合
例えば夫が亡くなり、その妻に十分な収入があって夫の収入で生計維持していなかった場合は遺族基礎年金をもらえません。
ここでポイントとなるのが「生計を維持される」の定義です。
「生計を維持される」とは、遺族の前年年収が850万円以下(前年所得655万5,000円以下)で亡くなった人と同居していた状況を指します。
これは別居していも一定金額以上の仕送りをされていたりする場合も「生計を維持されていた」ということになります。(亡くなった人の健康保険の扶養に入っていたり)
「遺族厚生年金をもらえない人」
・厚生年金保険料が未納の場合
当然ですが、保険料を納めていないと支給されません。
厚生年金保険料は雇用主と折半かつ給料から天引きなの未納になることはないと思いますが、過去に国民年金のみだった人はその時に滞納や未納をしていないかチェックしておきましょう。
・18歳(障害等級1・2級に該当する子は20歳未満)を超えた子や孫
遺族厚生年金の受給要件は広範囲に設定されていますが、年齢要件でひっかかります。
・55歳未満の夫や父母、祖父母
こちらも、年齢要件です。
若ければ頑張って働いてねということでしょうか。
・亡くなった人に生計を維持されていない
出ました、「生計を維持されていない」要件です。
先述の通りです。
【最悪のシナリオ】
遺族年金受給要件の一つである「生計を維持されている」という点について、“生計を維持する”の目安が前年年収850万円以下(所得655万5,000円以下)です。
ここで想定される最悪のシナリオとして、仮に妻が死亡して残された年収850万円以下の夫が、亡くなった妻に代わって子育てをすることにより年収が850万円以下になると予想されても遺族年金は受け取れません。
妻のサポートがあって維持できていた高年収も、妻が亡くなった後も維持するのは難しいでしょう。
【まとめ】
世界トップクラスである日本の社会保障ですが、恩恵を受けられない人もいます。
自分がどうなのか?を把握してライフプランを組みましょう。
かなり細かいので、プロに相談してください。
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