HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のファイナンシャルプランナー)の重永です。
年金の改正法案、ご存知ですか?
色々と変わることになりそうですが、見方次第では今後の日本の年金制度がどうなっていくかが読めてきます。
今回は改正法案の中でも「在職老齢年金」について考察します。
【60~64歳の支給停止基準額の引き上げ】
基礎年金の支給開始は65歳ですが、60〜64歳でももらえる年金があります。
それが「特別支給の老齢厚生年金」です。
厚生年金なので、国民年金のみの加入者は関係ありません。
2019年度時点で、男性は63歳から、女性は61歳から支給される年金です。
男性は2025年度、女性は2030年度以降は“特別支給の老齢厚生年金“はなくなります。
年金制度が変わるにつれ、不公平がないようにこうした“調整”みたいなことが年金には存在しています。
この“特別支給の老齢厚生年金”は、働いていて給料を一定金額以上受け取っている人は支給が停止されます。
「現行の支給停止額」
現行の制度では、年金額と報酬額の合計が28万円になると“特別支給の老齢厚生年金”が支給停止になります。
もしあなたが“特別支給の老齢厚生年金”の対象になる在職者だったら、どうしますか?
働く時間を調整して給料を減らそうと考えませんか?
あるラインを超えて働いても、もらえる金額が同じなら働く時間は短い方がいいでしょう。
実際に、この年金の支給停止を避けるために年金と報酬の合計額を28万円未満に抑えるよう調整している傾向があると指摘されています。
これでは経済は成長しにくいですね。
「改正案の支給停止額」
2022年4月に施行予定である改正法案では、この支給停止基準額が「年金と報酬の合計が47万円」になります。
そもそも、“特別支給の老齢厚生年金”は、そんなに多くありません。
なので、この基準に上がればほとんどの人がフルタイムで働いても支給停止にならないでしょう。
「本改正法案でどう変わる?」
2022年度末時点での支給停止対象者は以下のように変わると推計されています。
基準額が28万円の場合、約37万人(在職者の51%)
基準額が47万円の場合、約11万人(在職者の15%)
ただ、男性は2025年度、女性は2030年度以降は関係なくなります。(一部の年代だけ関係ある話)
今の若い人たちは気にしなくてOKです。
【働けるうちは働く時代に】
今後の日本では「年金が減るから働く時間を減らす」という声は少なくなりそうですね。
本改正法案では、繰上げ・繰下げ受給についても変わります。
このことからも、働けるうちは働いて生活費の足しにし、できるだけ公的年金に頼らないでねという政府の声が聞こえてくるようです。
定年退職して、急に暇になって、職場以外の人間関係は薄くて、趣味もなくて、金もなくて、なんて老後を送りたいですか?
数年後・数十年後には副業禁止の企業はありえない時代になっているかもしれません。
そうなると、仕事をする上で個々のスキルが今よりも重視されます。
余剰資金を金融資産の購入に充てるのも良いですが、自己投資に回して能力向上を図るのもいいですね。
とくに若い人はその効果が大きいです。
【まとめ】
60歳を超えても働き続けることが当たり前の世の中になろうとしています。
年金支給開始年齢も、現行の65歳から70歳や75歳に引き上げる準備期間のようにも見えてきます。
そうなることを予測したライフプランニングも重要になってきます。
できるだけ余裕を持った目標を定めて資産形成をしましょう。
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