HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のファイナンシャルプランナー)の重永です。
アメリカ大統領のバイデンさんが「富裕層への増税を提案する見通し」だとを発表されました。
※まだ提案する見通し段階だからね
具体的にどうなるのか?
いま日本では「米国株式ブーム」と言っていいほど加熱しているので、株式市場への影響が気になる人も多いかと存じます。
日本人への影響や、どうしたらいいのか?を考えていきます。
【アメリカ、キャピタルゲイン税率を約2倍に増税か!?】
「キャピタルゲインとは?」
そもそも今回話題になっているキャピタルゲインとはなんなのかおさらいしておきます。
キャピタルゲインとは、株式や債券などの資産を“売却“することによって得られる「売買差益」を指します。
・例
株価1万円の銘柄を100株で購入しました。(100万円分)
当銘柄の株価が1万円から1.5万円になりました。(100万円が150万円に増えた)
この、増えた50万円(手数料や税金を除く)がキャピタルゲインです。
逆に売買差益で損失が出ることをキャピタルロスといいます。
「インカムゲインとは?」
資産を保有していることによって得られる配当や利息はインカムゲインといいます。
銀行預金の利息もインカムゲインです。
「インカムゲインよりもキャピタルゲインの方が大きくなる可能性が高い」
これは今回の内容を語る上で重要になってきます。
株式投資を例に考えてみると、得られるインカムゲインは保有株式の数%が一般的ですが、キャピタルゲインは購入株価よりも数倍になることもありえます。
逆に、損失もキャピタルゲインは大きくなります。
そしてインカムゲインはロスを出す事はありえません。
どちらを狙った投資なのかは資産形成をスタートする上で重要です。
「アメリカの現行税率は?」
・インカムゲイン(配当や利息で得た利益)
アメリカではインカムゲインで得た利益に対して給与所得と同じ税率(累進課税制度)が課されます。
- 10%
- 15%
- 25%
- 28%
- 33%
- 35%
- 39.6%
7階段です。
・キャピタルゲイン(売買差益で得た利益)
短期保有(1年以上保有せず)株式の売却
先述のインカムゲインと同じ課税制度です。
長期(1年以上保有)株式の売却
先述の累進課税制度で10%と15%の人は非課税、25%〜35%の人は定率15%、39.6%の人は定率20%の税率が適用されます。
「日本では」
日本の株式投資で得た利益にはインカムゲイン、キャピタルゲインどちらも同じく定率20.315%の税率が適用されます。
【いくらに増税することを検討してるの?】
所得が100万ドルを超える富裕層に対するキャピタルゲイン課税の税率を引き上げる提案がされる見通しです。
所得100万ドルということは、日本円で約1億円超ということですね。
長期(1年以上保有)株式の売却によって得られるキャピタルゲインに対して課される現行の税率は最高で20%ですが、これを39.6%(およそ2倍)にするということが検討されています。
「実はこれだけではない」
アメリカでは20万ドル以上(夫婦合算25万ドル)の所得に課せられる純投資所得税(NIIT)という税金もあります。
この税率が3.8%なので、キャピタルゲイン全体に対して最大で43.4%が課されることになります。
アメリカでは20万ドル以上で高所得者とされるようですね。
日本では最近、年収1,200万円を超えると児童手当が支給停止になるというニュースが記憶に新しいです。(年収1,200万円あるなら児童手当いらない高所得でしょ?という考えだよね)
こんなところからもアメリカと日本の格差が見えてきます。
日本がいかにインフレしていないか。。
【増税してどうするの?】
バイデン大統領は、大規模なインフラ計画を検討しています。
その財源に充てるために今回公表された富裕層への増税案で貧富の格差を縮小する狙いがあるのかもしれません。
知らんけど。
【株式市場への影響は?】
気になるのはアメリカ株式市場への影響です。
実際にこれが発表された後の米国株式市場も下げましたね。
「株価下落の予想」
これが正式に決定すれば、増税の対象になる前に資産を手放すのは当たり前でしょう。
富裕層への増税なので、その富裕層が保有する資産も莫大なものと推定できます。
市場への影響は大きそうです。
「どうすればいいのか?」
「米国株を持ってる、、、増税こわい。。」と不安に思ってる日本人、安心してください。
そもそも日本人が米国株でキャピタルゲインを得ても税率は日本のルールに則って課されます。
つまり20.315%です。
そして、増税の対象になるのはアメリカの累進課税制度で税率20%の対象になっている人です。
つまり富裕層です。
なので日本居住者は米国株でキャピタルゲインを得ても増税にはなりません。
エメリカにいたとしても、そもそも庶民だから増税されません!
「米国株保有者は資産減?」
日本居住者は増税されませんが、増税を逃れるために米国株の売りが進み、米国株の時価総額が下がることは無関係とは言えません。
昨今の米国株ブームで、米国株やこれらが組み込まれた投資信託を保有している日本人は非常に多いです。
どうすればいいのか?
短期売買している人は自分で考えてください。(そもそも株式の短期売買は推奨しません)
長期で保有する目的で投資している人は、やることは今までと変えなくていいでしょう。
とくに毎月定額積立投資をしている人は、短期的に米国株式の株価が下がることはむしろプラス要素ですよね。
平均買付価格が下がり、将来のリターンが大きくなります。
【おまけ「二重課税」】
せっかく米国株式の税金について書いたので、ついでに「二重課税に注意!」ということも紹介します。
実は、米国株式の利益に対して“アメリカと日本の両国で税金がかかる(二重課税)“ことがあります。
先述の通り、米国株の売買差益で得たキャピタルゲインは米国内では非課税、日本国内で20.315%が課税されます。
一方、株式の配当金などによるインカムゲインはアメリカで10%が課税され、さらに日本で20.315%が課税されます。
※アメリカ内で課税される10%の税金は「外国税額控除制度」を利用して確定申告することで取り戻すことが可能
一部の投資信託は2020年1月から二重課税が解消されていますし、投資信託内で取り戻す手続きをしているので投資家が何かやるということは少ないです。
個人で高配当米国株式に投資している人は要注意です。
そもそもこんなことも知らないで投資をスタートするのは危険ですよね。。
【まとめ】
バイデン大統領が検討しているのは、
富裕層が1年以上保有した株式等の資産の売買差益で得られるキャピタルゲインに貸される税金が約2倍にするということです。
日本人は基本的に関係ありません。
関係あるのは、アメリカの富裕層が増税を逃れるために株式等を手放し、その株価等が値下がることです。
米国株式の株価や、これが組み込まれた投資信託の基準価額が下がるからといって急いで手放すような投資は推奨しません。
他者を出し抜く冬季的な短期売買ではなく、人類全体が勝者となりうる長期投資をしましょう。
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