HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のFP事務所)の重永です。
私の友人が不妊治療専門のクリニックで働いており、近年の受診者が増えているという話を聞きます。
私は独身ですが、お金のプロですので少しでも役に立つ情報を提供できたら幸いです。
デリケートな話ですが、ライフプランを考える上でしっかり考えなければならない事です。
【不妊治療の相場は?】
Webメディア「妊活ボイス」が2017年に行った「妊活・不妊治療」に関するインターネット調査によると、高度不妊治療にかかる費用の平均は約193万円だったそうです。
体外受精1回で数十万円かかるそうですね。。
なぜこんなに高いのか?
【多くの治療が保険適用外】
これが治療費が高額になる原因です。
初めの頃の治療、たとえばタイミング指導は保険が適用されて、1回の診察で自己負担は数千円程度。
排卵誘発剤の処方も高くて1万円〜2万円程度だそうです。
男性の精液検査は1万円前後であることが多いようです。
※病院・クリニックによりますが、様々なメディアを参考にしてこのくらいの金額が多かったです
これでも妊娠しない夫婦は次の治療に進みます。
ここからが保険適用外であることが多く、費用が高額になります。
体外受精の費用が保険適用外なので1回20万円〜60万円程度かかると言われています。
かなり幅がありますが、顕微鏡を使った体外受精は高額など、色々あるみたいですね。
私の友人も「ごめん、精子の様子見てるから遅れていきます」という理由で遅刻してくることがありました。
いま思えば、顕微鏡で様子を見ていたんだなと。(休みなく働いていて大変そうでした)
「治療費が高くなければ治療を受けたい」
こういう人が多いと思います。
様々な理由で治療費を用意できない夫婦もいるでしょう。
各自治体で不妊治療への助成金を用意していますので、名古屋市の例をご紹介します。
【自治体の助成金「名古屋市の場合」】
詳しくは名古屋市のホームページを見てください。
この記事では、ポイントを絞ってご紹介します。
「対象者」
- 特定不妊治療開始時点で、法律上の婚姻をしている方
- 申請時点で名古屋市内に住所を有する方
- 夫婦合算の所得額が、730万円未満の方
- 妻の年齢が43歳未満
「法律上の婚姻」ということは、内縁では対象にならないということです。
初めて助成を受ける際の治療開始時の妻の年齢が40歳未満の場合は43歳になるまでに通算6回まで、40歳以上43歳未満の場合は43歳になるまでに通算3回まで助成を受けることが可能です。
「所得制限」
ここでいう所得の算出方法は児童手当法施行令第2条及び第3条の規定を準用します。
算出方法 : 所得額 = 所得金額 ― 諸控除 ― 8万円
所得金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に当たります。
源泉徴収票の見方についてはこちら「支払金額、給与所得控除、源泉徴収税額」
夫婦合算の所得額が730万円未満であれば助成の対象になります。
年収730万円じゃないからね!!!!!!
たとえば夫だけが働いてたら、年収922万円だったら給与所得控除額を差し引くだけで給与所得が720万円になります。
20代の夫婦でしたら、ほとんど対象になると思います。
「助成金額」

平成31年4月1日からは男性不妊治療の助成金も拡充されています。
自治体もしっかりとした助成金を用意してくれていますね。
かなり大きな助成金額なので、これを知らずにいるのはもったいないです。
【不妊治療も医療費控除の対象】
「医療費控除の対象にならないもの」
一部、対象にならないものがあります。
それはドラッグストアで購入する「妊娠検査薬・排卵検査薬」です。
これらは直接的に治療や療養に必要な薬とされており、医療費控除の対象にはなりません。
治療目的であれば漢方も対象になりますので領収証をもらっておきましょう。
「医療費控除の対象になるもの」
上記にだけ気をつけていれば、他は対象になります。医療費控除についてはこちら「医療費控除の申請方法!サラリーマンが気を付けるべきこと」
過去の相談者の中で「保険適用外だから医療費控除とは関係ない」と勘違いされている方もいました。
保険適用外だと毎年送られてくる「医療費のお知らせ」には載ってこないので、こうした勘違いが起きるのでしょう。
そう、保険適用外だと健康保険協会は治療の事実を把握できません。
そのため、保険適用外の不妊治療を受けたら領収証をしっかり保存しておきましょう。
高額な治療になれば控除額も大きくなるので申請しない手はありません。
【高額療養費制度の対象ではない】
診察にかかる1ヶ月の自己負担額が一定金額を超えると、その超えた分が戻ってくるのが高額療養費制度です。
高額療養費制度について詳しくはこちら「“正しい保険の入り方”「医療保険」高額療養費制度」
高額療養費制度は、保険が適用される診察代(治療代)しか対象になりません。
よって、残念ながら保険適用外の高度な不妊治療は高額療養費制度の対象にはなりません。
【治療によって妊娠した人たちの声】
今回この記事を執筆するに当たり、多くのメディアを読みました。
中でも印象的だったのは「もっと早く治療を始めればよかった」という声が多いことです。
そして助成金の指定医療機関を受診せずに後悔した声もありました。
助成金対象者になる指定医療機関だったら助成金のことを教えてもらえるかもしれませんが、そうでない医療機関だったら患者さんを減らしたくないのでわざわざ助成金のことを教えてくれませんよね。。
病院も商売ですからねえ。。
【まとめ】
知らないと損することだらけでしたね。
病院や自治体によって色々と違いますので、詳しくは個々で調べるか相談にきてください。
過去には別の話題で相談にこられた夫婦がポロッと不妊治療のことをお話しされて、今回の記事のようなことをお伝えしたら助成金を数十万円受け、とさらに医療費控除で税金も減らすこともできて、とても喜んでもらったことがあります。
そう、とりあえずなんでも相談してみてください。
「お金が全てではないが、全てのことにお金は必要だ」というウシジマくんの名言があります。
全てのことにお金は関わっているので、ファーストオピニオンはお金のプロに任せてください。
お金が原因で物事を諦めてほしくないです。