HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のFP事務所)代表ファイナンシャルプランナーの重永です。
だいぶ日が経ちましたが、今年の6月10日から三菱UFJ銀行は新規口座開設の際に、“原則”紙媒体の通帳を発行せず、ネット上で閲覧できる「デジタル通帳」を発行しています。
希望者には従来通り紙媒体の通帳を発行しているらしいけど。
三井住友銀行は同様の取り組みを2016年から行っているって知っていましたか?
近い将来、どうなるのか考察します。
【なぜ紙媒体の通帳を廃止したいのか?】
「利用者の利便性を高める」
みなさん、通帳記帳していますか?
多くの人がキャッシュカードで引き出すだけで完結していないでしょうか?
時間があるときにまとめて記帳するなど、、、キャッシュカードがない時代ほど紙媒体の通帳は重要ではなくなっていますね。
いちいちATMに並ばずに、スマホで残高確認や送金ができれば利便性が上がりますよね。
「莫大なコスト」
これが1番の理由でしょう。
あまり知られていませんが、紙媒体の通帳は「課税文書」と印紙税法で定められており、
口座あたり”毎年“200円の印紙税がかかっています。
みなさんの通帳から毎年200円引かれていますか?引かれていませんよね。
そう、銀行側がこの印紙税を負担しています。
三菱UFJ銀には約4000万の口座があるそうで、単純計算でも紙の通帳だけで約80億円の印紙税を納めています。
これが全てなくなれば(紙媒体からデジタル通帳へ切り替え)、年80億円も利益が増加します。
国税庁のデータによると、銀行業界の印紙税額は以下の通り。
2013年:740億円
2014年:732億円
2015年:726億円
2016年:710億円
2017年:690億円
データからもわかるように、減っていますよね。
ネットバンキング利用者が増加し、紙媒体からデジタル通帳への移行が進んでいることがわかります。
「通帳に印紙税が必要なのはは銀行のみ」
信用金庫、信用組合、農業協同組合などは先述の印紙税はかかりません。
なんでかは知りませんが、比較的小規模で営業エリアが限られているからなのでしょうか。。
これらの金融機関はお年寄りの利用も多いので、かなり出遅れそうですね。
「ATMを減らしたい」
ATMも莫大なコストがかかっています。
私も銀行員時代にATMのめんどくささを目の前で見ていました。
(預金の偉い人が嫌な顔をしながらATMの仕事をしていたのを覚えています)
これについて、詳しいことは別の記事で。
【通帳を持つだけで手数料がかかる?】
まずは様子見で「”原則“紙媒体の通用は発行しない」としていますが、いつか紙の通帳を発行する場合は手数料を取るでしょう。
それが新規発行の時だけなのか、繰越の時も手数料が発生するのか、毎年なのかはわかりません。
メガバンクに追従して、他の銀行も同様の制度を敷くでしょう。
【デジタル通帳の利便性は?】
私も各金融機関でネットバンキングを利用しています。
遡れる入出金記録が短かったりして不便に感じることもあったのですが、これも過去10年分遡れるようになったりと、利便性は改善されつつあります。
ただ、今の高齢者がいきなりスマホで取引を完結させるのは難しいでしょうね。
この課題をいかにクリアするかが銀行側の腕の見せ所ですね。
【外国はどうなの?】
これだけ紙媒体の通帳が普及しているのは日本くらいだそうです。
そもそも通帳すら存在していない国が多いです。
通帳がないとどうすんの?
通帳の代わりに”ステートメント“と呼ばれる”取引報告書“が送られてきて、それを見て取引内容を確認しています。
利用明細が送られてくるクレジットカードと同じですね。
私も外国の銀行口座を保有していますが、通帳は存在していません。
口座開設の際、通帳ではなく小切手帳は渡されましたが。。
口座に動きがあったらメールでお知らせが来るので、スマホで確認しています。
【まとめ】
いかがでしたか?近い将来、紙の通帳はなくなると思いませんか?
私も取引の少ない通帳は10年以上前のデザインのままです。
「ネットはよくわからんから」とわがまま言っていたら、利便性が高くなっているはずなのに逆に不便になります。
時代の変化に柔軟に対応して、生活を豊かにしましょう。