HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のFP事務所)代表ファイナンシャルプランナーの重永です。

私はFP業のほかに、ブライダル業と飲食業も細々とやっています。

そこでのサービスの価格設定にも、数字のマジック(心理学)を応用しています。

その手法を少しずつ公開します。(とっておきの手法は有料コンサルでしか教えません笑)

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【端数価格】

「大台を回避する」

なぜ○○キュッパなのでしょうか?

結論から言うと、「大台割れの価格」と呼ばれています。

例えば、「980円」という一見キリの悪い価格表示は「1,000円」という“次の大台”を意識させないという心理的効果があります。

こうすることで、消費者の“心理的抵抗”を少なくし、「買いやすい価格だよ」と思い込ませることが可能なのです。

お店側としても20円の値引きでモノ・サービスが売れるならいいですよね。

割引するなら「○割引以上じゃないと効果がない」という別のテクニックもあるので、最低限の値引きで購買意欲を駆り立てるこのテクニックは多くの人が利用しています。

「大台回避の効果が薄れる数字」

なんでもかんでもこの手法で効果があるとは言えません。

みなさんの周りで「98(キュッパ)」が使われているのはどこで、使われていないのはどこか考えてみましょう。

そうです、「安いもの」に多く使われているはずです。

「98円」と「980円」が多いと思います。

千円台を超えてくると、「5,980円」にしても「大台回避」効果は薄れます。

桁が変わる(百円、千円、万円)単位では効果を十分に発揮します。

1万円で売りたいなら「9,980円」にすれば効果を発揮できます。

同じように10万円で売りたいなら「99,800円」にすれば大台を回避できますよね。

【端数効果が逆効果になるもの】

逆効果になるのは高級品や嗜好品です。高級品は完全に逆効果。

「安く見せる効果」があるので、高級志向の消費者には逆効果です。

高級品を求めている心理状態の人に対して「あれ?安く感じる(=安かろう、悪かろう)」という心理状態にさせてしまいます。

実際、以下のような実験結果があるそうです。(ビジネススクールのINSEADおよびNanyang Business Schoolによる実験)

高級品であるシャンパンに対してさまざまな価格設定をし、どの価格が最も購入されたかを検証しました。

①39.72ドル
②40ドル
③40.28ドル

もうおわかりかと思いますが、最も売れた価格は②の40ドルでした。

「39.72ドル」や「40.28ドル」といった価格設定はあまり購買意欲を駆り立てなかったことが分かりました。

一方、同時に「実用品である計算機(電卓)」にも同じようにさまざまな価格設定をして検証しました。

①3.99ドル
②4ドル
③4.01ドル

結果は「3.99ドル」が最も多く売れたそうです。

このように、高級品は逆効果、比較的値段の低い実用品には効果を発揮することがわかります。

【米国では9、日本では8】

「米国は9」

先述の実験で「おいおい、なんで39.98ドルにしないの?」と思いませんでしたか?

アメリカでは「大台回避」の手法に「9」で終わる数字が多く使われています。

以下のような消費者テストが行われました。

10 個の商品の価格をどのくらい正確に覚えているかを試すテスト。

結果、「9」以外の7、6、5、4 などの端数を用いても、被験者の多くが端数を「9」と答えました。

これはアメリカの小売業が「9」という数字を末尾に使うのが当たり前になっているので、いつのまにか消費者は末尾は「9」であるものと錯覚しているのです。

私たちも「イチキュッパ」と刷り込まれていますよね?「イチキュッキュ」って聞かなくないですか?

こうしたことから、ほかの端数より少しでも利益が取れる「9」を使おうということで端数は「9」が一般化したという説があります。

「日本は8」

「8」は漢字で書くと「八」となり、末広がりの数字として人気ですよね。

商売繁盛を願っての「8」を端数に用いることが多く、浸透し、日本では端数に「8」が多く使われています。

ちなみに車のナンバーを「8888」にしている人はダサいというデータがあります(重永データ研究所調べ)

【まとめ】

モノやサービスの値段を決める経営者としては基本ですね。

もっと細かくいくと、この端数効果を使わない方がいいものは高級品の他にもあります。

重要なのは、消費者にどう思ってもらいたいか。どうしてほしいか。

実用品を扱う小売業が端数効果を使うには1円単位まで釣り銭を用意しなければなりません。

夏祭りの屋台で「498円」で売ってるタコ焼きを見たことがありますか?

早く、多く売らなければならない現場で1円単位まで釣り銭を用意するのは大変ですからね。

「500円」と設定している屋台が多いと思います。

このように、商品の特性やビジネスの特徴に合った値段設定が基本です。