HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のFP事務所)代表ファイナンシャルプランナーの重永です。
最近、AMEXから「新しいリボ払いができるようになりましたー」と案内が届きました。
このリボ払いも心理会計が関係しています。
まんまとハマってしまうと破綻するでしょう。
【リボ払いの利息に使われる心理会計】
クレジットカードの利用額を、1ヶ月分まとめて支払う(引き落とし)のが通常です。
リボ払いは、毎月支払う(引き落とし)金額を一定にして、それを超えた金額は借金になります。
たとえばリボ払いを3万円に設定します。
ある月の請求額が10万円とすると、支払うのは3万円ですが、10万円から3万円を引いた7万円は翌月に繰り越されます。
翌月もその次の月も支払額は3万円です。
途中、さらにクレジットカードを利用しても支払額は変わりません。が、借金が増え続けます。
もちろん金利を支払います。
CMでは「毎月の支払額が一定になって便利!」みたいに言っていますが、借金がどんどん増えていく悪魔の仕組みです。
しかもこの金利が高い高い。
会社によって異なりますが、年利14.6%なんて当たり前です。
めちゃくちゃ高い金利なのに“心理会計”によって、金利が少なく感じます。
明細書には実際に支払った金利が載っています。
例えば先述の例で、7万円の支払いを翌月に繰り越した場合、7万円に対してかかる利息は840円です。
どうですか?少ないと感じましたか?
計算式は7万円×14.6%÷365日×30日ですね。
このように、本当はめちゃくちゃ高い金利なのに月割りで、1ヶ月ずつ表示することで、あまり金利を負担していないように錯覚します。
借入金額がそんなに大きくないことも原因です。
これが70万円になると金利負担は8,400円で、急に「金利負担が大きいな」と感じます。
リボ払いは、気付いた時には借入残高が膨大になります。
キャッシングも同じです。気を付けましょう。
【預金利息を受け取る場合の心理会計】
今度は金利を受け取る場合に作用する心理会計です。
例として1万円と100万円を1%の金利で1年間預けます。(税金は考慮しません)
さて、1年間待とうという気持ちはどちらの方が大きいでしょうか?
1万円の方は年利1%とすると1年間で100円の利息を受け取れます。
100万円の方は1年間で1万円の利息を受け取れます。
1万円だと受け取れる利息が100円と少ないので、「満期まで待たなくてもいいや」と思いがちです。
一方、100万円で受け取れる利息は1万円です。1年待てば1万円受け取れるのですから「満期まで我慢すれば利息でいいランチが食べられる」と我慢できます。
同じ利息なのに、人間の心理に作用する、ここにも心理会計が関係しています。
少額の元本は心の中で「小口現金(スグに消費してもいいもの)」に仕分けされ、大きな金額は心の中で「貯蓄(スグに消費しないもの」に仕分けされているのです。
元本が大きい方が資産運用において心理会計がプラスに働くということがわかります。
【まとめ】
様々なシーンで心理会計が使われています。
これに気付いているかいないかで、無駄遣いや余計な金利を支払うことを防ぐことができます。
例えば株式投資などで、運用資金が余剰資金である人は、いわゆる含み損を抱えていたとしても「ドン」と構えて耐えることができるのです。
運用資金が余剰資金ではない人は、利益よりも損失の方が心理的に大きく感じることもあり、株価が下落したらすぐに売却してしまいがちです。
保有し続けていればプラ転したかもしれないのに。。(どちらが正解かはわかりませんが)
心理会計を知ることで、日常生活では無駄な損をしないこと、資産運用においては運用資金の用途や目的をあらかじめ明らかにすることが大切です。
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