HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のファイナンシャルプランナー)の重永です。

年金の改正法案、ご存知ですか?

シンプルに「年金が変わる」とだけ解釈するのもいいですが、見方次第では今後の日本の年金制度がどうなっていくかが読めてきます。

今回は改正法案の中でも「支給開始時期の選択肢拡大」について考察します。

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【改正法案:支給開始時期の選択肢拡大】

「現行の受給開始年と繰上げ・繰下げ」

現行の年金制度では、年金の支給開始年齢は原則として65歳です。

希望すれば、この支給開始年齢を早めたり遅らせたりすることが可能です。

繰上げ受給は60歳から可能ですが、繰り上げる期間1ヶ月あたり年金額が0.5%減額されます。

仮に60歳から貰い始めると、12ヶ月×5年×0.5%=30%が減額されます。

繰下げ受給は70歳まで遅らせることができます。

こちらは繰り下げる期間1ヶ月あたり0.7%増額されます。

仮に70歳から貰い始めると、12ヶ月×5年×0.7%=42%が増額されます。

「改正法案:繰上げ・繰下げ」

まず繰上げ年齢は最速で60歳ということは変わりませんが、減額率が変わります。

現行では1ヶ月あたり0.5%減額されますが、コレが0.4%になります。

仮に60歳から貰い始めると、12ヶ月×5年×0.4%=24%が減額されます。

次に繰下げですが、増額率は変わらずに繰り下げられる年数が変わります。

現行では最長70歳まで繰り下げられますが、コレが75歳まで伸びます。

仮に75歳から貰い始めると、12ヶ月×10年×0.7%=84%が増額されます。

【損益分岐点の変化】

繰上げ・繰下げ受給で気になるのは損益分岐点です。

改正法案により、今までと損益分岐点にも変化があります。

「現行の損益分岐点」

現行では60歳から年金をもらい始めると、年金が早くもらえる分、もらえる金額も減るので65歳から受給する人に比べて76歳8ヶ月で受給総額が損益分岐点を迎えます

60歳からの繰上げ受給を選択した人は、この損益分岐点を超えて長生きすればするほど損することになります。(1回あたりにもらえる年金額が少ないですからね)

日本人の平均寿命(男女ともに80歳以上)を考えると、繰上げ受給しないほうがいいと言えます。

「改正後の損益分岐点」

繰上げ受給の減額率が変わるので、60歳からもらう人と65歳からもらう人との損益分岐点は80歳10ヶ月になります

では、繰下げ受給はどうでしょうか?

75歳まで繰り下げると84%も年金額が増額されます。

65歳から年金をもらう人と比べると、受給総額は86歳で損益分岐点を迎えます。

仮に平均寿命が伸びるとすると、75歳まで繰り下げるのが受給総額としては最もお得と言えます。

「と、見せかけて注意点!」

繰下げ受給の損益分岐点は表面的な計算上は86歳ですが、年金にも税金がかかります。

年金額が84%も増額されると、税金も増えます。

厚生年金の1人あたり平均月額は14万5,865円ですが、この金額だと非課税で済みます。

この人が75歳まで繰り下げて年金額84%アップすると、年金額は26万8,392円です。

年間20万円弱の税金がかかります。

税金は人によって(受給額によって)異なりますが、平均の数字で考えると実際の損益分岐点は86歳ではなく90歳くらいです。

【とらしげがオススメする受給開始年齢】

コレばかりは人によりますが、個人的に「繰上げ受給は生きているうちに後悔し、繰下げ受給は死んでから後悔する」という考えを持っています。

繰上げ受給を選択して損益分岐点まで生きたら後悔しますよね。

逆に、繰下げ受給を選択して年金をもらう前に死んだり損益分岐点を迎える前に死んだら損しますが、後悔するときには死んでいます。

だったら、できるだけ自分で用意した自分年金を切り崩したり、働けるまで働いたりして生活し、繰下げ受給を選択した方が良くないですか?

自分に支給されなかった分の年金は次の世代の年金額が減らないことの一助にもなります。(社会貢献)

なので、私はいけるところまで繰り下げることをオススメします。

※今回の改正法案では在職老齢年金の支給停止基準額も引き上げられて、フルタイムで働きやすくなります

【受給開始年齢70歳への布石か?】

繰下げ受給の範囲拡大が目立ちます。

とらしげがオススメする理由と同じように、国側も繰り下げを推奨しているように思えます。

現行では65歳で受給開始ですが、コレを遅らせるためのトライアルとしての意味合いを持つ改正法案という見方もできます。

【まとめ】

公的年金の改正は今後も何度かあるはずです。

それにライフプランを順応することは重要ですし、自分年金の計画も柔軟に対応させなくてはなりません。

どうせ資産形成するならば、公的年金をギリギリまでもらわずに(繰り下げして)生きていけるくらいの自分年金を用意する目標でいきましょう。

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