HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のファイナンシャルプランナー)の重永です。

金利が低い日本では、米ドル建てを中心に外貨での運用商品が注目されています。(とくに保険商品)

基本的に私は、日本で販売されている保険商品で資産運用することはオススメしていません。

なぜか?を今から書きます。

営業マンの言いなりにならないよう、ご自身でリスクについて理解することが重要です。

実際の相談事例を紹介しながら解説していきます。

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【なぜみんな外貨建て終身積立保険に加入するのか】

「日本は金利が低いからドル建ての商品で運用しましょう」と勧められ、生命保険会社の終身積立タイプの個人年金保険に加入している方が多いです。

ハッキリ言いましょう、営業マンの巧みな話術にアレされています。

こんなお客様がみえました。

「60歳まで払い続けて、65歳時に受け取れる満期保険金が、掛けていた保険料の118%です!超低金利の日本に比べたらめっちゃ良いですよね?」

めっちゃ良くないです。

基本的に私は、生命保険と資産形成は分けてやることをオススメしています。

というのも、保険料・保険金を決定する仕組みを知らないと損するということです。

「保険料・保険金が決まる仕組み」

日本の保険業界では、保険会社がいくら手数料を受け取っているか明らかにする義務はありません。

つまり、保険加入者が納めた保険料のうち、いくらが保障のために使われていくらが運用されているかがわかりません。

納めた保険料から手数料を保険会社も運営できませんからね。

保険量の仕組みについて、詳しくはこの記事で解説しています。

【外貨建て生命保険のメリットとデメリット】

「メリット」

メリットは、保険会社が運用してくれるということ。

保険と資産運用がセットになって勝手にやってくれるからめんどくさくない。

もちろん、通貨を分散する意味でも外貨建てで資産運用することは素晴らしいです。

が、たった「30年で118%」ごときのために後述するデメリット(リスク)を背負いますか?

「デメリット」

外貨建てということは為替リスクに注意です。

為替リスクについてはYouTubeでも解説しています。

契約によっては、保険金や満期保険金を外貨で受け取り、その後セルフで日本円に換金しなければならないこともあります。

そうなると「為替手数料」が余分にかかります。

これも計算に入れて利回りを計算しましょう。

【30年で運用実績118%はすごくない】

先ほどの相談事例について

仮に30歳男性が毎月5万円の保険料を払っていたとしましょう。

毎月5千円の定期保険(掛け捨て)に加入して、残りの4万5千円は投資信託等で運用したほうがいいです。

30年あれば

毎年平均1%運用:18,883,054円(116.5%)
複利毎課税後:18,305,480円(113%)

毎年平均3%運用:26,222,887円(161.9%)
複利毎課税後:23,701,077円(146.3%)

毎年平均5%運用:37,451,230円(231.2%)
複利毎課税後:31,247,825円(192.9%)

毎年平均9%運用:82,382,590円(508.5%)
複利毎課税後:57,133,719円(352.7%)

20.315%課税後でも、毎年平均1%ちょっとの運用実績で同じくらいですね。

一部、使える金額だけでも積立NISAを活用すれば実績はもっと良くなります。

「金利マジック」

一見「118%」という実績はすごいと思いがちですが、冷静に考えると「30年で18%しか増えていない」ということです。(もちろん死亡時の保険料を差し引いてますが)

ゲレンデマジックならぬ、金利マジックですね。

そもそも「日本の普通預金金利の0.001%と比べたら118%ってすごくないですか?」と、普通預金金利と比べてくることがおかしいです。

なぜ9%運用の実績も紹介しているのか、きちんと理由があります。

フランスの経済学者、ジェレミー・シーゲル先生の著書「株式投資」によると、

世界中の株式に分散投資しておけば、「表面利回り平均9%」という過去200年分のデータがあります。

投資先が分散されている投資信託をドルコスト平均法で30年間積み立てていけば、不可能な数字ではないということです。

【まとめ】

20年、30年と長い期間、積立を継続できるのは資産形成では大きな武器です。

時間が長ければ長いほど様々なリスクをカバーすることができます。これは若い時期にスタートする特権です。

リスクを取らなければリターンは得られません。

重要なのは自分のゴールに辿り着くためにはどのリスクを選択して、どのリターンを得られるか見極めることです。

間違ったリスクを選択する必要はありません。