HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のFP事務所)代表ファイナンシャルプランナーの重永です。
前回は個人が負担する消費税についての問題点を書きました。
今回は法人、個人事業主の消費税についてです。
中小企業を経営している人、勤めている人も他人事ではありません。
(今回は免税事業者についてスルーしてください)
【消費税の仕組み】
みなさん、消費税を払っていますよね?
では消費税をどこに納めていますか?税務署に納めている人は個人ではいないと思います。
物やサービスを購入する際にかかった消費税は、その購入先に払います。
その購入先が代わりに消費税を納める仕組みになっています。(間接税というやつです)
国税庁のホームページにわかりやすい図があります。
物やサービスを消費者が購入するまでに多くの事業者が関わっています。
図の“濃い紫”の消費税を合計すると、消費者が支払った消費税の額と一致する仕組みになっています。
【消費増税で起こりうる悲劇①】
たとえば居酒屋の飲み放題コース、消費税8%の今、税込5,000円とします。
来月から消費税10%になります。どうなるでしょう?
税込5,000円ってキリがいいので、同じ注文が入るはずです。幹事も嬉しい。
消費税8%では、税抜4,630円がお店の売り上げです。
消費税10%では、税抜4,545円がお店の売り上げです。
増税後、今までと同じ税込5,000円コースの注文だと売り上げが下がります。
料理やドリンクの内容を変えざるを得ません。
消費増税によって、消費者は負担が増えるか、据え置き料金のものであっても内容が改悪される可能性があります。
お店側は値上げすることで客足が遠のいたり、据え置き料金にしても売上は減ります。
【消費増税で起こりうる悲劇②】
前述は身近な例でしたが、もう少し深い話。
物やサービスが私たち消費者の手元に届くまで、多くの事業者が関わっていると先ほど書きました。
この、“製造”から“卸し”の段階で起こりうる悲劇です。
たとえば下請け会社が「今まで100万円で卸していた商品に当然のごとく消費税を転嫁して110万円で納めよう」と元請け会社に連絡します。
ところが元請けの大企業は「同業他社が100万円で卸してくれるらしいよ」と言ってきました。
下請け会社は仕事がなくなったら困りますから、100万円にせざるを得ませんよね。
いわゆる「買いたたき」、ストレートに言うと「下請けイジメ」ですね。
たとえ100万円にしたとしても、この下請け会社は消費税を納めなければなりません。
消費税転嫁を拒絶した元請け企業は利益が上がるのと同時に、輸出企業だと消費税が還付されるのでさらに得をします。
【消費増税で日本の大企業は大増益!?】
消費税は、国内での消費に対して課税される税金です。
海外へ輸出すると消費税はかかりません。
なんと輸出大企業には消費税が還付されます。(意外と知られていない)
日本を代表する製造業13社だけでも約1兆円とのことです。(元静岡大学教授で税理士の湖東先生によると)
先述のように中間の下請け中小企業にさらなる負担を強いるどころか、消費税を納めずに莫大な還付金を受け取っているのです。
トヨタ自動車は消費税導入以来、一度も消費税を納めたことがないそうです。
さらに毎年、還付金が振り込まれてきます。
そのためトヨタ自動車の本社がある豊田市は、消費税収がマイナスです。
いや、もちろん海外に輸出してるから当然なのですが、下請けイジメはしちゃダメよって話です。まさか天下のトヨタ様がしてるわけないと思うけど。
※還付金額は税務署も発表しませんし各社も公表しませんので、湖東先生の推計計算によるものです。(赤字税務署の還付金額は国税局が発表したものだから間違いない)
【まとめ】
間接税である消費税、泣くのは間に挟まれた中小零細企業であることが多い実態。
輸出大企業は還付金を受け取り、法人税も下がり続け、増益になるわけです。
日本経済が盛り上がるからいいやんけ、と見せかけて
いいことの裏には、苦しんでいる人たちがいることを忘れてはいけません。
個人も法人も同じですね。消費税は、金持ちに優しく、庶民に厳しい。
金持ち向けの税金は、厳しくならない。
だったら金持ちになりましょう。
早めに資産形成をスタートしましょう。