HIBIKI FP OFFICE(愛知県名古屋市のFP事務所)の重永です。
最低賃金引き上げの方針が決まりましたね。
「給料上がるからいいやんけ」という考えだけでは浅はかです。
最低賃金が上がることでどういう影響が私たちの生活にあるのか考えて備えましょう。
予備知識として、2018年5月の有効求人倍率は1.6倍で44年ぶりの高水準で、どこも人手不足です。
企業側は時給を上げないとアルバイトを雇えません。
こういった背景からも、最低賃金を引き上げやすくなっています。
【最低賃金の推移】
2019年度の全国平均最低賃金は874円です。
それが今回の審議会(徹夜で会議していたらしいですよ)では全国平均901円にする方針と決まりました。過去最大の引き上げ幅です。
東京都と神奈川県では1,000円を超えるとのこと。
愛知県は926円になります。
ここで過去10年の最低賃金の推移表をご覧ください。
2008年は703円でした。
こちらが2000年から2016年までの厚労省が発表しているデータです。
ここからわかるように、2007年頃から最低賃金を上げ続けていますね。
さすがにリーマンショックや東日本大震災があった年は慎重になっていますが。。
3%引き上げる目標で推移しているのがわかります。
近年になってからとくに顕著に表れていますね。
私は2006年に時給830円でアルバイトしていました。なかなかの高時給ですよね。
【なぜ最低賃金を上げたがるのか】
・物価上昇させたい
・企業の生産性を向上させたい
このへんが軸でしょう。物価上昇についてはこちらの記事「日本政府はなぜ物価上昇(インフレ)させたがるのか」
安倍さんをはじめ、偉い人たちは「年5%引き上げるべきだ」とも言っています。
では、なぜこんなにも最低賃金上昇にこだわるのか。
【最低賃金を引き上げるとどうなるのか】
アルバイト・パートの時給が一律で上昇すると、同じ職場で働いている正社員との差が縮まります。
「正社員の意味がない」となっては困りますから、企業側としては正社員の給料も上げざるを得なくなります。
企業側としては人件費が増えるとしんどいので、モノ・サービスを値上げします。
消費者の給料が増えると、お金を遣います。モノ・サービスを買います。
モノが売れると、企業は売り上げが上がります。
売り上げが上がると利益も増えます。
企業が儲かると、従業員の給料を上げられます。という好循環です。
この流れで物価上昇させたい狙いがあります。
ただ現金をばらまいてお金の価値を下げてモノの価値を上げるだけでは好循環にはなりません。消費者の給料をあげることはマストなのです。
【メリット】
・消費者の給料が上がって労働・消費意欲が向上する
給料が上がるとモチベーションが上がりますよね。お財布の紐も緩むかもしれません。
・モノやサービスが売れやすくなる
収入が上がった消費者全員が貯め込むと困りますが、よっぽどお金を遣うでしょう。
支出は収入の額まで増え続けますからね。
・企業の生産性向上
甘やかされてきた日本の企業も、どんどん積極的に成長していかないと生き残れなくなります。どんどん設備投資して、利益を求めるようになれば、自然と国の成長率も上がっていきます。
【デメリット】
・企業側は負担増
人件費が増加すると、売上が横ばいだと負担増です。(回り回って売上も伸びるはずですが、消費者が消費を抑えたりすると好循環になりませんからね)
・雇用が減る
人件費が上がって利益を圧迫するようになると、時給に見合わない雇用を見直します。
製造業では作業の機械化、飲食店ではセルフサービス、コンビニやスーパーでもレジは無人化が進んでいますよね。(その分、機械メーカーは儲かりますが)
・スキルが求められる
雇用が減るということは、働く場所が少ないということです。
最低賃金が上がるということは、その時給に見合った仕事をしてくれる人じゃないと企業側は雇いたくありませんよね。
雇用されている側も、どんどん成長していかなければなりません。
【まとめ】
雇用されている側は「おっしゃ、なんか知らんけど給料上がったわ」という考えではダメです。
その給料分の働きを求められます。企業側に「機械の方が安くていい仕事をする」と思われたらリストラされるかもしれません。
個人のスキルを高めていく必要があります。
企業側は、どんどん利益を出すように成長させなければなりません。現状維持もいいかもしれませんが、最低賃金が上がってくるとその現状維持ができなくなります。常に会社を成長させるよう努めましょう。
消費者は給料が上がったらどんどん消費しましょう。
もちろん貯蓄も大切です。しかし、現金のままでは物価上昇すると価値が下がっていきます。
全て貯蓄ではなく、投資にも回しましょう。
投資することも経済成長には大きな意味があります。
企業に投資すれば、企業は設備投資できる、売上が上がる、給料に還元、という好循環にもなります。
先々を見据えて、常に変わりゆく時代の波に乗ることが大切です。
5年後、10年後、30年後と、近い将来と遠い将来を見据えながら目標を持って生活していきましょう。
ライフプランニング表を作ることもおススメです。(弊社では作成料5万円と高額なのでおすすめしません、作るの大変だから笑)